プログラム
10:30~10:40 音楽家医学とその動向
酒井直隆 (さかい整形外科・東京女子医科大学整形外科) |
10:40~11:40 英国における音楽家の手の診療の実際
金塚 彩 (千葉大学医学部 整形外科) |
Performing
Arts Medicine (PAM) は、演奏家、声楽家、ダンサーなどの機能障害及び心理的問題を扱う医学である。とくに演奏家は主に上肢を使い楽器を演奏するため、手外科医が診療に果たす役割は大きい。このPAMに特化した専門外来や教育制度は、これまで欧米を中心に発展してきた。演者は英国のUniversity College London (UCL) 大学院PAMコースに留学し、Dr.Ian
WinspurおよびDr. Hara Trouliのもとで、英国における診療の現状と今後の課題について学んできたので、今回お話させていただく。 |
11:40~12:40 顎関節症ってなに?
西山 暁 (東京医科歯科大学歯学部附属病院 顎関節治療部) |
顎関節症は5~12%が罹患する疾患であるが、その詳細については十分に理解されているとは言い難い。本疾患に関連する要因は多様であるが、特に顎の関節や筋肉に直接負荷が加わるような状況は、より問題を引き起こしやすいと考えられる。したがって,楽器演奏はこれらの負荷要因になりうるといえる。本講演では顎関節症という疾患の正しい知識を知っていただくともに、楽器演奏がどのように影響するのかについて紹介する。 |
13:30~14:30 奏でる身体を支え、育む ~心理学と教育的な観点から~
丸山 慎 (駒沢女子大学人間総合学群 心理学類) |
音楽を奏でるために人は自身の身体と楽器とを巧みに関わらせる。その関わらせ方の究極的な解の1つが熟達者の運動ということになるだろう。一方、人は発達初期からゆっくりと多様な探索を経て自分の身体で発生させることのできる音や楽器との関わり方を見つけていく。本講演では乳幼児期~児童期の音楽発達や熟達した演奏者の身体運動に関する研究などを題材にしながら、音楽と医学とのつながりを心理学的・教育的な視点から眺め「奏でる身体を支え、育む」とはどのようなことなのかを考えていきたい。 |
14:30~15:30 歌声の診かた
駒澤大吾 (声のクリニック赤坂 こまざわ耳鼻咽喉科)
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歌唱者は楽器としての音源と共鳴腔を自らの身体に有し、音源である声帯に感覚神経が乏しいこと等から、歌声の障害は器楽奏者の演奏障害とは異なる点が多い。発声の生理は呼気(動力)・声帯(音源)・声道(共鳴)の三要素からなり、各々に病態も存在する。本講演では、総論として三要素を概観し、各論として①声帯微小隆起病変②上咽頭炎③歌声ジストニア的な障害について取り上げ、技術レベルによる疾患像の違いにも迫りたい。 |
15:40~16:40 逆説的にジストニアから学ぶ、ゆるくても効率的な
奏法・練習法
上杉春雄 (愛全病院 神経内科) |
古典的神経学は脳損傷患者を正常と比較することで脳の機能局在を明らかにしてきた。このように病的状態は、しばしば我々にとって正常の働きとは何かを教えてくれる。
音楽家のジストニアは練習と結びついており、あらゆる演奏家に起こりうる。また一度発症すると音楽家人生に関わる重篤な問題となる。その病態を知ることは、予防につなげると同時に、積極的に我々がどのように演奏すべきかを教えてくれるという意味でも重要である。
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16:40~17:30 5人の演者とのディスカッション |
上記5人の講演者と会場の参加者で、自由にディスカッションを行っていただきます。 |
司 会:中澤公孝 (東京大学大学院総合文化研究科)
工藤和俊 (東京大学大学院総合文化研究科)
酒井直隆 (さかい整形外科・東京女子医大附属成人医学センター)
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